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1.Comprehensible Input

Comprehensible Input とは、「インプット仮説」で有名な Krashen によると

「現在の能力より少しレベルの高いインプット(comprehensible input)を理解することで、言語が習得され、そして、十分なインプットがあれば、話す力は自然に表出(emerge)する」(1985, 1991)

とある。しかし、彼の場合、「理解できるインプットだけで、言語が学べる」としたことに問題があり、これに対する反駁論文も多く書かれている。

しかし、それでもなお、理解できるインプットが言語習得に必要だという点に関しては、彼の優れた洞察力に敬意を払うべきであろう。

なぜなら語彙習得において、単語は、知らなければ作り出すことができないので、インプットがないことには話にならないからだ。

例を挙げて説明しよう。

たとえば「いぬ」という単語がある。

でも、これは誰かが、「いぬ」という動物に対して、そう名付けたからであって、「いぬ」が「おいらのことを「いぬ」と呼んでくれよ」などと言ったわけでない。

もちろん語源はあるかも知れないが、じゃあ、なぜ英語で犬は dog なんだ、と言われても分からないし、たとえば、canis, chien, perro というヨーロッパの言語から、「犬」を想像することも難しい。

つまり、単語というものは、自分から作り出せないので、その言語で使われている今あるべき単語、ここでは「いぬ」をインプットして覚えるしかないのだ。

もちろん単語を作り出すこともできるが、それは本人にしか分からず、言語としての役割を果たさない。

たとえば、「じゃぁ、おれは犬のことをゆうじと呼ぶ」と勝手に思って、「今日は、ゆうじと会ったよ」と言っても、それを聞いた人は、犬を見たとは思わずに、きっと、あのかっこいい人(あみーご?)と会ったんだなと、思うに違いない。

ちょっと話がそれたが、語彙習得においては、その単語をインプットしない限り、覚えることができないのだ。

また、「理解できるインプット」として、単語を聞くことも大切だ。文字だけで覚えて、聞いたことがない単語は、聞き取ることは難しいからだ。

日本では、多くの人が中学、高校と6年間英語を学び、さらに大学、短大でも、英語を学んでいる。

しかし、その多くが、単語を文字だけで覚えているので、文字を見れば分かる単語でも、聞けば理解することができないということが起きている。

たとえば大学の入試問題では、以下のような英文和訳が出される。

Although snowflakes are directed by the pull of gravity, water molecules hardly know it exists, moving so rapidly that it shapes their paths only slightly. (Ayabe).

これは1995年の京都大学の入試試験問題なので、一般的なものより難しいかも知れないが、基本的なコンセプトは同じである。

こんな難しい英文の和訳ができるのに、映画で使われている、本物の会話を聞かせると、いくら簡単な表現でも聞き取れないと言うことがある。

高橋(1995)によれば、大学の授業で、ディズニー映画、『美女と野獣』を使い、"What are you doing?" といった簡単な表現の聞き取りをさせたところ、大半が聞き取れなかったという。

文字のインプットがあっても、音のインプットがないことが、難しい英文を読めば理解できても、日常会話もできないと言う矛盾した結果を生み出している。

このように「理解できるインプット」が語学習得に必要不可欠な存在であることは、疑う余地もないが、これだけでは不十分だということも理解しておかねばならない。

次は、その点について、見ていくことにしよう。

 

. 英語進化論 (理論編)
| 0. Intro | 1. Input | 2. Interaction | 3. Interaction | 4. Conclustion |

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