
Conclusion
言語学習を簡単にまとめると、単語、文法、発音の習得ということになる。
ただ、これではあまりにも漠然としているので、ある程度の目安がいるだろう。Nation (1990) によれば、日常生活に必要な単語は2000語とされている。大学レベルになると3000語である。
少ない気もするが、彼の言う単語数は、使える単語数である。つまり、聞いて、読んで理解できるだけではなくて、文章の中で使える、会話の中で使うことができる単語のことである。
そのためには、単語は意味だけでなく、正しい発音を覚え、様々な文脈の中で使われても理解することができて、また、それをいろいろな状況で使うことができるようにならなくてはならない。単語は、文脈の中で4技能、聞く、読む、話す、書くをフルに使って覚えていくことが大切なのだ。
具体的に言えば、英語進化論(基礎編)で書いたように、シャドウイングなどを使って例文付きの単語集で単語の学習しながら、同じ単語に、映画やテレビ、小説や新聞などを通して、何度も触れ、そして、覚えた単語を実際に使ってみることが望ましい。
このように英語を学習していけば、英語を見ればわかるけど、聞けばわからないと言う矛盾は起こらない。また、この方法で、2000語が自由に使えるようになれば、読んだり、聞いたりして理解できる単語数はもっと多くなるはずである。
いつになるかわからないが、次回の英語進化論(実践編)では、実際に、最重要単語2000語、3000語を選び出して、もっと具体的な学習法を書いてみたいと思う。それまで待てないと言う人は、市販の2000語ぐらいの例文付きの単語集を使うとよい。
上級者、ネイティブ並の英語力を目指す方へ
2000語、3000語レベルを越えてる学習者は、次に、その英語を洗練させていく必要がある。
ネイティブの単語力は20000語、30000語とも言われているが、ネイティブ並の英語力を目指すのであれば、そこまで習得する覚悟が必要になってくる。
また、その単語を、学んでいく課程で、英語らしい表現というものを習得する必要がある。
英語らしい表現とは、たとえば、I wished to be wedded to you. は、文法としては正しいが、誰もこんな表現を使わず、普通は、I want to marry you. といった表現が使われる。
これは I want to marry you. の方が、英語らしいからである。
では、英語らしいとは何なのか? Nick Ellis (1995) は、このことをこう説明している。
「長期記憶の中に、I wished to be wedded to you. という表現がないから不自然なのだ」
言い換えれば、こんな表現は、聞いたこともないから、英語らしくないということなのだ。
と言うことは、英語らしいと判断ができるようになるには、たくさんの自然な英語をインプットしていかなくてはならない。
いきなり20000語は身に付かないが、単語を増やす課程で、同じ単語をいろんな文脈の中で学習していくことが重要である。
また英語進化論(基礎編)では、シャドウイングを元にして、無意識の記憶の重要性を説いたが、ネイティブ並の英語力を目指すには、意識することが重要になってくる。
Instruction の項でも書いたが、細かな文法事項などは、どれだけインプットがあっても、身に付きにくいし、時には身に付かないことがある。
特に日本人で言えば、a とか the の冠詞の使い方とか、前置詞の使い方は、なかなか身に付きにくい。たくさんの英語を聞き、使ってもいるのに、今ひとつ上達しない、と言う人は、こういう細かな部分を意識していく作業が必要になってくる。
その意識をする過程を経て、無意識に使えるレベルにもっていかなくてはいけない。
そのためには、文章を書くという作業が、おすすめだ。会話の場合、思いつくまま話すことが多いので、自分の間違いに気づかずに、話していることが多い。
しかし、書くという作業になると、意識する部分が多いので、細かな文法事項に対して、気をつけるようになるのだ。
なので、シュリーマンが言っていた、英文を書いて、ネイティブにチェックをしてもらうという作業が、いかに有効なのがわかるだろう。
ネイティブ並の英語力を身につけたい人は、単語、文法、発音(プロソディを含む)をもとに、さらならる大量のインプットと、細かい文法に対する意識が必要なのである。
ただし、くれぐれも言っておくが、これはネイティブ並の英語力を目指す人のためであるので、普通に会話ができる程度であれば、そこまで、細かい文法事項について学習する必要はない。
a と the を間違えようが、複数形と単数形を間違えようが、基本的に、コミュニケーションに、たいした支障はない。よく細かな文法の違いを説いた本などもあるが、英語初級者には、あまり役に立たないだろう。
すでに、ある程度、英語が話せる、使えるという段階になって、こういう細かな部分を学んでいくことが、よりレベルの高い英語力につながっていくだろう。
References
Ayabe, S. (1998) Easy English. <http://www2.nkansai.ne.jp/sch/fiesta/kaishaku3.html> [2000, December 6].
Burt, M.K. & Kiparsk, C. (1980). The gooficon: a repair manual for English Rowley, Mass.: Newbury House
Celce-Murcia, M., Brinton, D., & Goodwin, J. (1996). Teaching pronunciation: A reference for teachers of English to speakers of other languages. Cambridge: Cambridge University Press.
Chomsky, N. (1957). Syntactic structures. The Hague: Mouton.
Ellis, N. C. (1996). Sequencing in SLA: Phonological memory, chunking, and points of order. Studies in Second Language Acquisition, 18(1). 91-126.
Hall, S. (1997). Integrating pronunciation for fluency in presentation skills. ERIC Document. 408-856.
Izumi, S. & Bigelow, M. (2000). Does output promote noticing and second language acquisition? TESOL Quarterly, 34(2). 239- 277.
Krashen, S. D. (1985). The input hypothesis. London: Longman.
Krashen, S. D. (1991). The input hypothesis: An update. Georgetown University Round Table on Languages and Linguistics. 409-431.
Lightbown, P.M. & Spada, N. (1999). How languages are learned. Oxford: Oxford University Press.
Long, M. H. (1983). Native speaker/non-nativve speaker conversation and the negotiation of comprehensible input. Applied Linguistics 4. 126-141.
Morley, J. (1994). Pronunciation pedagogy and theory: New views, directions. Alexandria, VA: TESOL.
Nation, I.S.P. (1990). Teaching and learning vocabulary. NY: Newbury House.
Okita, ,Y (1999). Teaching pronunciation. English Teaching Forum, 37 (1).
<http://e.usia.gov/forum/vols/vol37/no1/p16.htm> [2000, December, 6].Parker, M. (2000) Pronunciation & grammar: using video and audio activities. English Teaching Forum, 38 (1). <http://e.usia.gov/forum/vols/vol38/no1/p24.htm > [2000, December, 6].
Pica, T., Lincoln-Porter, F. Paninos, D., & Linnell, J. (1996) Language learners’ interaction: How des it address the input, output, and feed back needs of language learners? TESOL Quarterly 30(1). 59-84.
Schmidt, R. (1993). Awareness and second language acquisition. Annual Review of Applied Linguistics, 13. 206-226.
Takahashi, H. (1995). Use of movies in English teaching: A strategy to restore favorable attitudes toward English study. ATEM Bulletin. 30-42.
| . 英語進化論 (理論編) |
| | 0. Intro | 1. Input | 2. Instruction | 3. Interaction | 4. Conclustion | |